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【特撮】『仮面ライダー』「ショッカーの黒幕は日本政府」説はホント?「フィクション」ではなかった石ノ森章太郎の社会風刺

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1:5ch名無し民2023/04/13(木) 10:33:40.76ID:OZm/WkRa9

マグミクス 4/13(木) 6:10

「この計画はもともとおまえたちの政府がはじめたものだよ!」
 庵野秀明監督『シン・仮面ライダー』が公開されたことで、1971年に放映されたテレビ版『仮面ライダー』が注目を集めていますが、それとともに脚光を浴びることになったのが同時期に発表された石森章太郎による原作マンガ版『仮面ライダー』です。

 マンガ版『仮面ライダー』のストーリーには、当時の世相を賑わせていた公害問題、原爆の後遺症の問題、政治風刺などが取り入れられていました。前年に行われていた安保闘争の雰囲気も濃厚に漂っています。

 とりわけ注目されることが多いのが、ショッカーと日本政府の関係です。ネットなどでは「悪の秘密組織ショッカーの正体は日本政府」という説がまことしやかに語られています。はたして本当なのでしょうか?

 順を追って見ていきましょう。マンガ版の最後のエピソードにあたる「仮面の世界(マスカーワールド)の巻」で、ショッカーは幹部クラスの怪人・ビッグマシンを中心に、人間をロボット化して支配しようとする「10月計画(オクトーバープロジェクト)」を実行しようとしています。

 鍵を握るのが大手電子機器メーカー「日の下電子」です。ショッカーは社長や社員たちを洗脳し、日の下電子を乗っ取っていました。ショッカーの狙いは、日の下電子が5年前、日本政府から極秘で注文を受けた巨大な電子頭脳(コンピューター)です。

「10月計画」とは、特殊な電波を発するカラーテレビと電波をキャッチする腕時計を一斉に発売し、腕時計を身につけている人間を洗脳してしまう計画でした。どちらも値段は従来の商品の10分の1というのですから、多くの人が飛びつくのは間違いありません。

 一文字隼人は仮面ライダー2号になって、電子頭脳を破壊するために敵基地に侵入しますが、対峙したビッグマシンから驚きの事実を知らされます。「この計画はもともとおまえたちの政府がはじめたものだよ!」。一文字隼人ならずとも「なんだと!?」と言わずにはおれません。ビッグマシンは続けます。

「…おまえもきいたことがあるはずだ。“国民を番号(コード)で整理しよう”という国会の審議を…。…あの“コード制”というアイディアは日本政府の『コンピューター国化計画』の一部なのだ」

 これはフィクションではありません。実際、70年から佐藤栄作内閣は「省庁統一個人コード」の研究を始めていました。75年には全面的な実施が計画されていましたが、国民総背番号制への国民の反発もあって立ち消えになりました(「納税者番号制度の導入と金融所得課税」国立国会図書館『調査と情報』475号)。あらゆる個人情報が一元管理される国民総背番号制は、プライバシーの侵害につながると考えられていたのです。

 話は『仮面ライダー』に戻ります。ビッグマシンによると、“国民を番号で整理しよう”という日本政府の計画をキャッチしたショッカーは、日の下電子を乗っ取って電子頭脳を奪い、一部に手を加えて「10月計画」にしたそうです。

「おまえたちのえらんだ政府の計画を、より完全なものにしてやろうという親切心からしたことだ」とビッグマシンは言っていますが、どう考えても拡大解釈しすぎです。日本政府は、国民を番号で整理(管理)しようとしていましたが、“洗脳”なんて考えていなかったわけですから。

 仮面ライダー2号は「信じられん!」と反論しますが、ビッグマシンに「うそではない!!」と強弁されて「うっ!!」と返事に窮してしまいます。

 ビッグマシンは「FBI(アメリカ連邦検察局)日本支部の滝という男もそういっていたはずだ!」と続けて、また仮面ライダー2号は「……むむ!?」とうなりますが、滝はそんなこと言っていません。日本政府が日の下電子に巨大な電子頭脳を発注した件について探っていただけで、電子頭脳の用途についてはわかっていませんでした。ビッグマシンを見ていると、何でも力強く言い切ってしまう人の強さと恐ろしさを感じざるを得ません。

 ショッカーは“国民を番号で整理しよう”としていた日本政府に勝手に乗じて、自らの「10月計画」を進めようとしていたわけです。「ショッカーの黒幕は日本政府」、あるいは「ショッカーを日本政府がスポンサードしている」という説は明らかに間違いだと言っていいでしょう。

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